記法についての改善案
ゼミの準備があるので机には向かってみたものの、鼻水が止まらなくて集中できないので、何年も前から思っていた不満点でもぶつけてみる。「風邪大丈夫ですか?」という優しいコメントが貰えるという淡い期待を抱きつつ・・・
数式中で、括弧( )が2通りの意味で使われていて紛らわしい
数学では、括弧を次の2通りの意味で使うことがあります。
A.四則演算の順序を指定する場合
と書かれればを実行した後でを足すのが通常ですが、を実行した後でをかけたい場合に括弧を用いて、と表記します。
B.関数の変数を明示する場合
例えば、のように、関数の変数(ここでは)を括弧で明示します。
この2種類の括弧を混同する、と言ったら、笑われるかもしれません。「そんなの文脈で判断できるだろう」と思われるでしょうが、もうちょっと複雑になるとどうでしょう?
自然科学では、「変数名」と「関数名」の両方に物理的な名前をつけることがあります。例えば、力(force)を表す変数と関数名にはいずれも、頭文字をとってと表します。
A.力(は変数)に2粒子の位置座標の差をかけて、(たとえばエネルギー変化を表す式を)
と書くことがあります。中学校以上の数学では、スカラー同士の掛け算の記号は省略するのが普通です:
B.力(は関数)が、2粒子の位置座標の差のみの関数の場合、を変数として、
と書けます。ここで、この表式を書くたびに新しい変数(ここでは)を導入するのが煩わしいので、これを単に
と表します。
ですから、のように書かれると、AとBのどちらの意味なのかは文脈から判断しなくてはなりません。大抵の場合、前後の意味を考えればすぐに理解できるのですが、こういう数式に出会うたびにいちいち立ち止まらなくてはならないのは煩わしいので、記法を区別すればいいのに・・・と思います。
それでは、どのように改善すればよいか
AとBのどちらかを、括弧以外のシンボルに変更すれば良いのですが、Aの用法は入れ子構造になることが多く、( ), [ ], { } などと工夫が凝らされているので、Bの用法(←汎関数でもない限り入れ子構造にならない)を別のシンボルに改めることを考えます。
( )以外のシンボルとは言っても、上述のように [ ]や{ }はAの意味で既出なので、これをシンボルに用いると現在と同様の問題が生じてしまいます。
そこで、新しいシンボルが必要なわけですが、僕は日本語の引用符に用いられている「 」を提案します:
f「x」
のような感じです。どうでしょうか^^