次の一手

8月25日。いや、大学院入試の前日なんですけどね、優雅に朝日新聞の将棋欄を見てました。名人戦で、先手(黒)が丸山さんで、後手(白)が森内さんです。



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(指了図 △4六角まで)
PCを買い替えて、まだペイントしか入ってないので、図がしょぼいですw


「ここで先手に好手がある」という意味深な一言を残して、その日の記述は終わっていました。
皆さんは、どう思いますか?


クロバットな手が好きな僕には、ひとつの手しか浮かびませんでした。




▲6一銀


そう、先手は角の筋を通すために、5筋を攻める流れで5五歩と突いたに違いない!
以下、△同玉 ▲8三角成 です。


後手の持ち駒に金があれば △7二金 でなんともないのですが、今は銀しかないので、△7二銀 ▲8二馬 となって、次に ▲9一角 と香車を取って5筋に打ち込む田楽刺しが受けにくいのです!
もちろん、田楽刺しで金を取ったらそれで終わりではなく、その後、後手の飛車の活用を抑えつつ攻め込んでいけます。


これ以上深く読まずに、自分の答えに自信を持って院試当日の朝、朝刊を見て驚きました。


ここで好手があります。それは▲5八飛 です。


なにその地味な手www


   ・・・と思ったのですが、ちゃんと考えてみたら、確かに▲6一銀からの攻めは、
・単純に △6八角成 や △1九角成は全く怖くないけど、△4五桂 からの攻めが割と早くて強烈
・9一に成った馬がその後活用しにくい
・2六にいる歩のせいで、自陣の飛車の逃げ場所が限られる
といった事情から、確かに5八飛が最善手でした。


でも、仮に桂馬が4五に飛べなくても、そして仮に2六に敵の歩がいなくても、▲6一銀 に対しては意外な受け方があったのです!!!




▲6一銀
△同玉
▲8三角成
△7一玉


▲6一銀 は、△同玉 以外では飛車が取られるので、△同玉 の一手なのですが、▲8三角成 に対して、△7一玉 と寄る手がありました!!
ナイーブに考えれば、先手が角や金を手に入れた途端に一手詰みなので、これは筋の悪い手に見えます。しかし、▲5四歩 → ▲5八飛 など、あらゆる手を尽くしても、攻めるときに捨てる歩を利用して受けられてしまい、角や金を手に入れられないのです。


先手が一度手を抜くと、△7二銀 と受けられてしまい、今度は▲8二馬 と攻め込めないので、馬が引いて、△8三歩 とガッチリ守られてしまいます。これでは、ただの先手の銀損ですね。
クロバットな攻めに対して、アクロバットな受け! ちょっと面白かったので、ブログに書いてみました。